心房細動の病態形成にマクロファージが関与する
Recruited macrophages elicit atrial fibrillation
背景
心房細動(AF)の成因にマクロファージが関与する、という報告が現れた。
アメリカHarvard Medical SchoolのHulsmansらによるもので、10名のAF患者と対照健常者の心房細胞の単一細胞トランスクリプトーム解析の結果である。
結論
AF患者の心房細胞におけるCCR2+ SPP1+ マクロファージの増加が明らかとなった。心房肥大・線維化・AFを発症しやすい高血圧・肥満・僧帽弁逆流症マウスの心房細胞の単一細胞トランスクリプトーム解析でも、ヒト同様の変化が認められた。同合併症マウスにおける遺伝子改変実験では、Ccr2欠損による単球遊走阻害とSPP1欠損によるシグナル伝達阻害により、AFは低減した。
評価
炎症性マクロファージは心筋梗塞や脳卒中で出現することが報告されており(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25035951/)、AFの病態形成に関与することは十分に考えられる。この論文は特に、マクロファージ由来シグナル(SPP1)という注目すべき抗AF標的を同定した点が注目される。


