心筋トロポニンと臨床因子に基づく高精度心筋梗塞スコア
Machine learning for diagnosis of myocardial infarction using cardiac troponin concentrations
背景
心筋トロポニンの測定は、急性心筋梗塞(MI)診断の不可欠な一部である。トロポニンアッセイに関する現在のガイドライン推奨は一定の閾値を用いているが、他の臨床的な特徴を考慮した個別的な閾値は診断パフォーマンスを改善することができるか。
イギリスUniversity of EdinburghのDoudesisらは、スコットランドの二次・三次医療施設を受診したMI疑い患者(n=10,038)のコホートで、来院時ないし連続測定時の心筋トロポニン濃度と臨床的な特徴に基づいてMIの確率に対応したCollaboration for the Diagnosis and Evaluation of Acute Coronary Syndrome(CoDE-ACS)スコアを算出する機械学習モデルを開発し、6ヵ国の7つの外部検証コホート(n=10,286)でこれを検証した。
結論
CoDE-ACSモデルはMIを良く弁別し、外部検証コホートでの曲線下面積(AUC)は0.953であった。CoDE-ACSモデルは、心筋トロポニンの固定閾値と比較して、同程度の陰性適中率ながら、より多くの患者をMIの可能性が低いと判定し(61% vs. 27%)、より高い陽性適中率で、より少ない患者をMIの可能性が高いと判定した(10% vs. 16%)。CoDE-ACSモデルでMIの可能性が低い、中程度、高いと判定された患者それぞれの心臓死亡リスクは、受診後30日時点で0.1%、0.5%、1.8%、1年時点で0.3%、2.8%、4.2%であった。
評価
心筋トロポニンに加えて、年齢・性別・発症時間など10を超える臨床特徴を元に心筋梗塞の確率を0-100で計算するスコアであり、外部検証では高い層別化パフォーマンスを実証した。臨床意思決定を改善する大きな可能性を秘めており、前向検証が期待される。

