性腺機能低下症男性へのテストステロン補充療法の心血管安全性を確認:TRAVERSE
Cardiovascular Safety of Testosterone-Replacement Therapy
背景
性腺機能低下症の中高年男性に対して行われるテストステロン補充療法には心血管系リスクが伴う、というデータがある。
アメリカCleveland ClinicのNissenら(TRAVERSE)は、心血管疾患既往または高リスクで、性腺機能低下症の症状を訴え、2回の空腹時テストステロン値が300ng/1dL未満の45〜80歳の男性5,246名を対象に、経皮テストステロンゲルの連日投与(平均 21.7ヵ月)の安全性を検証するRCTを行った(対照:プラセボ)。安全性の一次アウトカムは、心血管死亡・非致死的心筋梗塞・非致死的脳卒中いずれかの初発である。
結論
テストステロン補充療法のプラセボに対する安全性の一次アウトカム非劣性を認めた(HR 0.96, 非劣性のp<0.001)。ただし、テストステロン群では心房細動・急性腎障害・肺塞栓症の発生率が高かった。
評価
長い問題だが、最近のメタアナリシスではリスクについては否定的である(https://doi.org/10.1016/S2666-7568(22)00096-4)。本試験はこの問題に関する最大のもので、一応の決着をつけた。ただし、アメリカでは明確な性腺機能低下症のない男性も使用することがあり、テストステロン補充療法が健常男性にも安全である、という誤解が広まる可能性がある。


