どのような症状で若年者の大腸がんを疑うべきか
Red-flag Signs and Symptoms for Earlier Diagnosis of Early-Onset Colorectal Cancer
背景
近年、検診の開始推奨年齢に満たない、若年者における大腸がん発症が増加していることが世界的に報告されている。一般に若年者の大腸がんリスクは低いと見做されており、これらの患者での諸症状を診断に結びつけることは容易ではない。
アメリカWashington UniversityのFritzらは、2006〜2015年の期間に民間保険に2年以上継続加入していた、18〜64歳の受給者1億1,300万人のデータベース(IBM MarketScan)を基にした症例対照研究を実施し、事前に指定された17の兆候・症状から、診断の3ヵ月〜2年前にみられる赤旗(red-flag)兆候・症状を特定した。
結論
腹痛(オッズ比 1.34)・直腸出血(5.13)・下痢(1.43)・鉄欠乏性貧血(2.07)の4つの赤旗兆候が、早期発症大腸がんと関連した。これらの兆候のうち、1つのみの場合には大腸がんリスクが1.94倍、2つ同時にみられた場合には3.59倍、3つ以上では6.52倍であり、より若い年齢、直腸がんで、より強い関連がみられた。診断前2年から3ヵ月までに最初の兆候が現れた患者は19.3%、診断前3ヵ月以内に最初の兆候が現れたのは49.3%であった。
評価
Colorectal Cancer Allianceのレポート(https://www.ccalliance.org/news/press-releases/colorectal-cancer-alliance-releases-never-too-young-survey-report)によれば、若年大腸がん患者の3/4が複数の医師の診察後に初めて正しい診断を受ける等、若年者大腸がんの多くはタイムリーな診断を受けられていない。この研究で特定された赤旗兆候は、大腸がんの診断早期化に役立ち得る。