初のFDA承認CAR-T細胞療法は再発・難治性B-ALL小児に治癒をもたらすか:ELIANA3年結果
Three-Year Update of Tisagenlecleucel in Pediatric and Young Adult Patients With Relapsed/Refractory Acute Lymphoblastic Leukemia in the ELIANA Trial

カテゴリー
がん
ジャーナル名
Journal of Clinical Oncology
年月
March 2023
41
開始ページ
1664

背景

キメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法薬、チサゲンレクルユーセルは、再発・難治性のB細胞性急性リンパ芽球性白血病(B-ALL)小児・若年成人患者を対象とした多国籍第2相試験ELIANAにおいて、81%という高い寛解率を示し(http://doi.org/10.1056/NEJMoa1709866)、CAR-T細胞療法としては初のFDA承認を受けた。
アメリカChildren's Hospital of PhiladelphiaのLaetschらは、フォローアップ期間38.8ヵ月(中央値)時点での、同試験の再発・難治性のB-ALL患者(n=79)における有効性・安全性・患者報告QOL結果を報告した。

結論

全寛解率は82%であった。無イベント生存期間は中央値24ヵ月、全生存期間は中央値未到達であった。3年無イベント生存率は44%、3年生存率は63%であり、生存イベントのほとんどは最初の2年間に発生した。投与後1年以上経過した患者の29%にグレード3・4の有害事象が報告されたが、グレード3・4の感染は1年以降は増加しなかった。患者は、投与後36ヵ月目までのQOL改善を報告した。

評価

この3年結果でもチサゲンレクルユーセルによる寛解は持続的で、あらたな安全性シグナルも認められなかった。チサゲンレクルユーセルが再発・難治性のB-ALL患者にとってcurativeな選択肢となることを改めて確認した。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(がん)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Journal of Clinical Oncology (JCO)、Journal of the National Cancer Institute(JNCI)、Lancet、The New England Journal of Medicine(NEJM)、Cancer Research (Cancer Res)