CHIPのASCVDリスクを確定
Clonal Hematopoiesis of Indeterminate Potential Predicts Adverse Outcomes in Patients With Atherosclerotic Cardiovascular Disease
背景
クローン性造血(clonal hematopoiesis of indeterminate potential: CHIP)は白血病関連変異を持つ血液幹細胞の加齢に伴うクローン性拡大で、新たな心血管危険因子として注目されている。
アメリカMassachusetts General HospitalのHonigbergらは、動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)アウトカムに対するCHIPのインパクトを検討する観察研究を行った。UK Biobank参加者(40〜70歳)で、ASCVDが確立しており、全エクソームシーケンシングが入手可能な個人13,129名を対象とし、うち665名(5.1%)がCHIPを保有していた。一次アウトカムは、ASCVDイベントと全死因死亡の複合である。
結論
中央値10.8年の追跡で、ベースライン時のany CHIP(変異アレル頻度2%以上)とlarge CHIP(変異アレル頻度10%以上)の一次アウトカム調整HRは、各1.23・1.34であった。TET2およびスプライソソーム(SF3B1/SRSF2/U2AF1)CHIP、特に大クローンは、有害転帰と最も強く関連していた([large TET2 CHIP]HR 1.89, [large spliceosome CHIP]HR 3.02)。
評価
CHIPがASCVDのリスク因子であることを確認する最大の研究であり、また準定量的に「大クローン」が危険であることを説得力を持って示した。高リスクサブタイプ(特にTET2、さらにSF3B1/SRSF2/U2AF1等)の特定により、将来に期待される新規治療介入の対象候補集団も明らかにしている。