STEMI自発再潅流のバイオマーカーを特定
Biomarkers of Thrombotic Status Predict Spontaneous Reperfusion in Patients With ST-Segment Elevation Myocardial Infarction
背景
ST上昇型心筋梗塞(STEMI)患者の約20%で自発再灌流(SpR)が起こるが、それを予測するバイオマーカは。
イギリスImperial College LondonのGorogらは、同患者801名の血液をPCI前に検査し、ポイントオブケア閉塞時間(OT)・内因性線溶時間(LT)を評価する前向研究を行った。再灌流は、PCI前の梗塞関連動脈のThrombolysis In Myocardial Infarction flow grade 3と定義し、患者の主要心血管イベント(死亡・心筋梗塞・脳卒中)を追跡した。
結論
SpR例では、OTが長く(435秒 vs. 366秒)、LTが短く(1,257秒 vs. 1,616秒)、トロポニンが低く、左室機能が優れていた。LTは、SpRの予測においてOTより優れていた(AUC:0.707 vs. 0.629)。SpR患者では、STセグメント完全消失患者でOTが長い一方、部分的消失患者ではLTが短かった。SpRは、臨床的特徴や発症-CAG時間とは無関係であった。SpRでは、主要有害心血管イベントが少なく(4.1% vs. 10.6%)、特にSpRとSTセグメント完全消失を共に示した患者は、予後良好だった(1.5% vs. 10.1%)。
評価
このテーマに関する最大の前向研究であり、著者らの「SpRは、血小板反応性の低下と内因性線溶の促進に関連する」という結論は説得的である。最近のレビューは、「このコホートに関する侵襲戦略の可否に関しては、RCTが必要である」としているが(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34245445/)、難しいテーマである。