年齢調整ルールで肺塞栓の見逃しをなくす
Comparison of YEARS and Adjust-Unlikely D-dimer Testing for Pulmonary Embolism in the Emergency Department
背景
YEARSルールは肺血栓塞栓症(PE)が疑われる患者での検査前確率を層別化し、PE除外/画像検査の意思決定に有効性が認められているが、より効率的なルールは可能か。
カナダMcMaster Universityのde Witらは、同国の三次医療施設の救急外来でD-dimer検査を受けた患者(n=1,703)においてYEARSの3項目を系統的に記録し、YEARSルールと年齢調整臨床意思決定ルール"Adjust-Unlikely"(「PEが最も疑わしい」項目を満たさない50歳以上の患者では、D-dimerの閾値を年齢×10 ng/mlとする)の診断精度を比較した。
結論
年齢(中央値)は62歳、PEの有病率は8.0%であった。PE診断についてのYEARSの感度は92.6%、特異度は45.0%であり、Adjust-Unlikelyの感度は100.0%、特異度は32.4%であった。D-dimer値が500 ng/mlから年齢調整閾値までの患者を除外した場合のPE検査後確率は、YEARSルールで2.8%、Adjust-Unlikelyルールで0.0%であった。
評価
新しく提案されたルールでは、YEARSルールに比べて画像診断の必要数は増加したものの、すべてのPEを見逃さずに特定可能であった。