肩関節前方脱臼、一番よい整復法は?
A Systematic Review With Pairwise and Network Meta-analysis of Closed Reduction Methods for Anterior Shoulder Dislocation

カテゴリー
救急医療
ジャーナル名
Annals of Emergency Medicine
年月
April 2023
81
開始ページ
453

背景

肩関節脱臼に対する非観血的整復では、最も古いHippocrates法から始まり、牽引・梃子・旋回などのメカニズムを用いた数多くの方法が提案されてきた。
日本St Luke's International University (聖路加国際大学)のGonaiらは、2020年末までにデータベースに登録されたランダム化比較試験を検索し、急性肩関節前方脱臼に対する各種の非観血的整復法を、成功率・痛み・整復時間について検討した。

結論

1,189名の患者を含む14件の研究が特定された。ペアワイズメタアナリシスで比較された唯一のペア、Kocher法とHippocrates法に成功率・疼痛・整復時間の差は認められなかった。ネットワークメタアナリシスでは、FARES(Fast, Reliable, and Safe)法が、Kocher法よりも疼痛の少ない唯一の方法であった。累積ランキング曲線下面積(SUCRA)では、FARES法とDavos(Boss-Holzach-Matter)法が成功率が高く、整復時の痛みはFARES法が優り、整復時間では修正外旋法とFARES法が優った。合併症としてKocher法で1件の骨折があった。

評価

このメタ解析では、特にFARES法が優位性を示した。ただし、結論とするには直接比較を行うRCTが必要となる。

関連するメディカルオンライン文献

大規模臨床試験、新規の薬・機器・手法・因子・メカニズムの発見に関する文献を主に取り上げ、原文の要約と専属医師のコメントを掲載。

(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)