ランサムウェアによる攻撃が近隣の救急医療に与える影響
Ransomware Attack Associated With Disruptions at Adjacent Emergency Departments in the US
背景
医療機関へのサイバー攻撃は増加しており、特に感染したシステムの使用を不可能にし身代金(ランサム)を要求するランサムウェア攻撃は、医療インフラに対する大きな脅威となっている。
アメリカUniversity of California, San DiegoのDameffらは、4つの急性期医療施設に対するランサムウェア攻撃(2021年5月1日から1ヵ月)が行われた前後の期間で、隣接する2つの大学病院救急外来の受診者数、時間あたりのスループット、患者の転送、ケアへの影響を調査した。
結論
19,857件の救急受診が評価された。攻撃前の期間と比して、攻撃中の期間には救急受診者(1日平均218.4件 vs. 251.4件)、救急車到着数(1,741件 vs. 2,354件)、入院数(1,614件 vs. 1,722件)、診察を受けずに帰宅した患者数(158件 vs. 360件)とも有意に増加した。待合室での時間(21分 vs. 31分)、入院患者における外来滞在時間(614分 vs. 822分)も有意に増加した。脳卒中コードの発動(59件 vs. 102件)、脳卒中確定数(22件 vs. 47件)も増加した。
評価
ランサムウェア攻撃が、直接攻撃の対象となった施設だけでなく、その周辺の急性期医療システムにも大きな影響を与える災害であることを具体的なデータによって示した。攻撃の予防だけでなく、攻撃を受けた際の地域内連携も重要な課題となる。