舌は体をうつす鏡?:AIで舌画像から胃がんを診断
Development of a tongue image-based machine learning tool for the diagnosis of gastric cancer: a prospective multicentre clinical cohort study
背景
伝統的中医学においては、舌はその人の健康状態を反映しており、特に胃疾患と密接に関連している(「外候」)と考えられている。では、この概念を胃がんの診断に応用することは可能か?
中国Cancer Hospital of the University of Chinese Academy of SciencesのYuanらは、同国の胃がん患者(n=328)・非胃がん患者(n=304)の舌画像および舌苔細菌叢サンプルを収集し、これを基にディープラーニングモデルを構築し、胃がん患者(n=937)・非胃がん患者(n=1,911)からなる多施設前向研究により評価した。さらに胃がん患者(n=294)・非胃がん患者(n=521)からなる独立した外部検証コホートでも検証を行った。
結論
舌画像ベースの診断モデルの受信者動作特性曲線下面積(AUC)は0.89であり、舌苔細菌叢ベースのモデルは属(genus)レベルで0.94、種(species)レベルで0.95であった。多施設前向研究において、舌画像ベースの3種の胃がん診断モデルのAUCは0.88-0.92、外部検証コホートにおいては0.83-0.88であり、8種の血液バイオマーカーの組み合わせよりも有意に優れていた。
評価
舌の細菌叢と胃がんとの関連は注目されており(https://doi.org/10.1007/s13238-018-0596-6)、本研究では画像的評価においても血液マーカーを凌駕する精度を示した。低コストで非侵襲的なプレスクリーニング・ツールとして注目される。


