T-DM1抵抗性となったHER2陽性転移乳がんでT-DXdが効果:DESTINY-Breast02試験
Trastuzumab deruxtecan versus treatment of physician's choice in patients with HER2-positive metastatic breast cancer (DESTINY-Breast02): a randomised, open-label, multicentre, phase 3 trial

カテゴリー
がん
ジャーナル名
The Lancet
年月
April 2023
Online first
開始ページ
Online first

背景

DESTINY-Breast01試験は、トラスツズマブ エムタンシン(T-DM1)に不耐性・抵抗性のHER2陽性転移・再発乳がん患者においてトラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)が有望であることを示した。
フランスUniversite Paris SaclayのAndreらは、世界227施設の、T-DM1歴を有する切除不能またはHER2陽性転移性乳がん患者を、T-DXdまたは主治医選択治療へと2:1で割り付ける第3相ランダム化比較試験DESTINY-Breast02を実施した(n=608)。

結論

無増悪生存期間(中央値)は、T-DXd群17.8ヵ月、対照群6.9ヵ月であった(ハザード比 0.36)。治療下発現有害事象として、T-DXd群では悪心、嘔吐、脱毛、疲労が一般的であった。グレード3以上の治療下発現有害事象は、T-DXd群の53%、対照群の44%で発生した。薬剤関連間質性疾患はT-DXd群の10%(42例, うち2例が死亡)、対照群の1例で発生した。

評価

T-DXd群では、進行リスクが1/3に抑制された。第3相試験としては初めて、抗体-薬物複合体(ADC)に対する耐性が、別のADCによって克服可能であることを示した点も画期的である。

関連するメディカルオンライン文献

大規模臨床試験、新規の薬・機器・手法・因子・メカニズムの発見に関する文献を主に取り上げ、原文の要約と専属医師のコメントを掲載。

(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(がん)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Journal of Clinical Oncology (JCO)、Journal of the National Cancer Institute(JNCI)、Lancet、The New England Journal of Medicine(NEJM)、Cancer Research (Cancer Res)