免疫チェックポイント阻害薬は超低用量でも効くか?:インド
Low-Dose Immunotherapy in Head and Neck Cancer: A Randomized Study
背景
PD-1/PD-L1免疫チェックポイント阻害薬は、頭頸部扁平上皮がんに対して有効であるが、非常に高コストで、特に中・低所得国では利用できる患者が限られる。こうした問題意識を背景に、ニボルマブの低用量化を目指す研究が現れた。
インドTata Memorial HospitalのPatilらは、緩和治療を受ける再発・新規診断の進行頭頸部扁平上皮がん患者を、メトトレキサート(週1回)、セレコキシブ200 mg(1日2回)、エルロチニブ150 mg(1日1回)の3剤メトロノミック化学療法のみ、またはそれへのニボルマブ20 mg(3週1回)追加へと1:1で割り付ける第3相ランダム化比較試験を実施した(n=151)。
結論
低用量ニボルマブの追加により、1年生存率は16.3%から43.4%へと改善した(ハザード比 0.545)。全生存期間の中央値は、化学療法単独群6.7ヵ月、ニボルマブ追加群10.1ヵ月であった。グレード3以上の有害事象は、それぞれ50%、46.1%で発生した。
評価
20 mgは推奨される240 mgの1割に満たない用量であるが、メトロノミック化学療法との併用で全生存期間を有意に改善した。通常用量へのアクセスが困難な非先進国の患者に道を開く重要な知見だが、同時に現在推奨されている用量が過剰なのではないか、という疑いも生じさせる。