HFpEFでの心房ペーシングは有害無益:RAPID-HF
Rate-Adaptive Atrial Pacing for Heart Failure With Preserved Ejection Fraction: The RAPID-HF Randomized Clinical Trial

カテゴリー
循環器
ジャーナル名
The Journal of the American Medical Association
年月
March 2023
329
開始ページ
801

背景

HFpEF患者では運動負荷中の心拍数非上昇・低下(chronotropic incompetence)がよくみられるが、心房ペーシングで運動中心拍数を上げると、運動耐容能は改善するのか。
アメリカMayo ClinicのBorlaugら(RAPID-HF)は、症候性HFpEF・クロノトロピック不全の患者を対象に、レート適応型心房ペーシングの効果を検証するクロスオーバーRCTを行った(対照:ペーシングなし,n=32,16週追跡)。一次アウトカムは、無酸素性作業閾値(VO2,AT)におけるVO2の変化である。

結論

心房ペーシングにより、初期およびピーク時の運動心拍数は増加したが、一次アウトカム効果は認めなかった。ペースメーカー植え込みは、21%の患者で有害事象と関連した 。

評価

一定の合理性があり試みられたパイロットRCTだが、かなりの既存研究が示唆するように、心拍増は心拍出量の増加にはつながらず、またQoLの改善もなかった。この戦略は放棄されよう。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(循環器)

Journal of the American College of Cardiology(JACC)、Lancet、The New England Journal of Medicine(NEJM)、American Heart Journal (AHJ)、Circulation、The Journal of the American Medical Association(JAMA)