HFpEFでの心房ペーシングは有害無益:RAPID-HF
Rate-Adaptive Atrial Pacing for Heart Failure With Preserved Ejection Fraction: The RAPID-HF Randomized Clinical Trial
背景
HFpEF患者では運動負荷中の心拍数非上昇・低下(chronotropic incompetence)がよくみられるが、心房ペーシングで運動中心拍数を上げると、運動耐容能は改善するのか。
アメリカMayo ClinicのBorlaugら(RAPID-HF)は、症候性HFpEF・クロノトロピック不全の患者を対象に、レート適応型心房ペーシングの効果を検証するクロスオーバーRCTを行った(対照:ペーシングなし,n=32,16週追跡)。一次アウトカムは、無酸素性作業閾値(VO2,AT)におけるVO2の変化である。
結論
心房ペーシングにより、初期およびピーク時の運動心拍数は増加したが、一次アウトカム効果は認めなかった。ペースメーカー植え込みは、21%の患者で有害事象と関連した 。
評価
一定の合理性があり試みられたパイロットRCTだが、かなりの既存研究が示唆するように、心拍増は心拍出量の増加にはつながらず、またQoLの改善もなかった。この戦略は放棄されよう。