再発・難治骨髄腫でCAR-T細胞療法ide-celが、標準治療上回る:KarMMa-3試験
Ide-cel or Standard Regimens in Relapsed and Refractory Multiple Myeloma

カテゴリー
がん
ジャーナル名
The New England Journal of Medicine
年月
February 2023
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開始ページ
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背景

Idecabtagene vicleucel(ide-cel、bb2121)は、B細胞成熟抗原(BCMA)を標的とする第二世代のCAR-T療法で、再発・難治多発性骨髄腫(r/r MM)患者を対象とした第2相KarMMa試験で7割を超える高い奏効率を示した(http://doi.org/10.1056/NEJMoa2024850)。
スペインClinica Universidad de NavarraのRodriguez-Oteroらは、免疫調節剤・プロテアソーム阻害剤・ダラツムマブ等2-4レジメンの治療歴を有するr/r MM成人患者を、ide-celまたは標準治療(5種のレジメンのいずれか)へと2:1で割り付ける国際共同第III相ランダム化比較試験KarMMa-3を実施した(n=386)。

結論

患者の66%が3クラス抵抗性であり、95%がダラツムマブ抵抗性の状態であった。無増悪生存期間(中央値)は、ide-cel群で13.3ヵ月、対照群で4.4ヵ月であった(ハザード比 0.49)。奏効率はide-cel群71%、対照群42%で、完全奏効率はそれぞれ39%、5%であった。グレード3・4の有害事象は、ide-cel群の93%、対照群の75%で発生した。ide-cel投与を受けた225名のうち、88%でサイトカイン放出症候群が発生し、5%はグレード3以上であった。また、主治医判定による神経毒性は15%で発生、3%がグレード3以上であった。

評価

第2相までの結果に基づき国内でも承認を受けていたが、標準的治療レジメンとの比較を行ったこの第3相では、ide-cel投与により、大半が3クラス耐性の多重既治療MM患者における進行イベントが半減した。cilta-celと並んで、r/r MM治療の大きなブレイクスルーとなる。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(がん)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Journal of Clinical Oncology (JCO)、Journal of the National Cancer Institute(JNCI)、Lancet、The New England Journal of Medicine(NEJM)、Cancer Research (Cancer Res)