トロポニンPOCTによる病院前リスク層別化は経済的
Chest Pain Management Using Prehospital Point-of-Care Troponin and Paramedic Risk Assessment
背景
急性冠症候群が疑われる患者に対するトロポニンのポイント・オブ・ケア検査(POCT)は、救急外来でのトリアージを改善し、外来滞在時間の短縮やコストの削減など、ケアシステムにも有益であるが、近年プレホスピタルでも検証が進んでいる。
オーストラリアAlfred HospitalのDawsonらは、同国ビクトリア州の救急車・救急外来・病院受診を連結させたコスト最小化分析により、ST上昇を伴わない急性胸痛患者におけるパラメディックによるリスク層別化と、トロポニンPOCTのコスト効果を評価した(n=188,551)。
結論
デバイス寿命を5年としてトロポニンPOCT経路のインフラ・スタッフ費用を換算すると、年間コストは病院前での帰宅が無い場合は227万ドル、病院前での帰宅(同州にあるバーチャル救急への紹介)が可能な場合460万ドルであった。決定期モデル分析においては、病院前での帰宅が不可能な場合は645万ドルのコスト削減、病院前での帰宅が可能な場合は4,284万ドルのコスト削減となった。
評価
本研究が想定するのは、パラメディックによる病院前POCTとその結果に応じたdisposition、さらにビクトリア州独自のシステム、バーチャル救急外来への紹介という経路で、日本には応用しづらい面もあるが、未来の医療システムのあり方として興味深い。


