IV期メラノーマでMDSCを標的とした新しい併用療法
Targeting MDSC Differentiation Using ATRA: A Phase I/II Clinical Trial Combining Pembrolizumab and All-Trans Retinoic Acid for Metastatic Melanoma
背景
悪性黒色腫の治療は免疫チェックポイント阻害薬の登場により大きく改善したが、一部患者では効果がみられない。
アメリカUniversity of ColoradoのTobinらは、抗PD-1治療歴のないIV期悪性黒色腫患者(n=24)を対象に、オールトランスレチノイン酸(ATRA)とペムブロリズマブによる併用療法を行い、安全性と有効性を検証する第1b/2相試験を実施した。
結論
併用療法はよく忍容され、ATRAに関連した有害事象として頭痛、疲労、悪心があった。第2相推奨用量は、3週間間隔ペムブロリズマブ200 mgに対してATRA 150 mg/m2と決定された。無増悪生存期間は中央値20.3ヵ月で、客観的奏効率は71%、完全奏効率は50%、1年全生存率は80%であった。併用療法は血中骨髄由来抑制細胞(MDSC)の頻度を低下させた。
評価
急性前骨髄球性白血病に用いられる抗がん剤であるATRAを用いて、MDSCを標的化する新機軸のペムブロリズマブ併用戦略で、ステージIVのメラノーマに対して高い奏効を示した。本研究の大半は前治療歴のない患者であったが、免疫療法に抵抗性となった患者に対しても有効か、今後の研究に期待がかかる。