下部直腸がんの腹腔鏡補助手術、短期アウトカムは良好:LASRE試験
Short-term Outcomes of Laparoscopy-Assisted vs Open Surgery for Patients With Low Rectal Cancer: The LASRE Randomized Clinical Trial
背景
直腸がんに対しても腹腔鏡手術の選択が増えているが、下部直腸がんにおいては開腹と同等のアウトカムを達成することは困難と考えられてきた。
中国Fujian Medical University Union HospitalのJiangらは、同国22ヵ所の三次医療施設(年間30例以上の腹腔鏡下直腸間膜全切除[TME]を行う施設)で下部直腸がんの治癒的切除が予定されている患者を、腹腔鏡手術と開腹手術に2:1で割り付けるランダム化比較試験LASREを実施し、両群の短期的有効性を比較した(n=1,070)。
結論
直腸間膜完全切除率は、腹腔鏡群で85.3%、開腹群で85.8%であった。CRM陰性率は腹腔鏡群98.2%、開腹群99.7%、DM陰性率はそれぞれ99.4%、100%であった。リンパ節検索個数(中央値)はそれぞれ13個、12個であった。腹腔鏡群では括約筋温存率が高く(71.7% vs. 65.0%)、入院期間も短かった(8.0日 vs. 9.0日)。術後合併症に群間差はなく(13.0% vs. 17.2%)、30日以内に死亡した患者はいなかった。
評価
経験豊富な外科医によって実施された腹腔鏡手術は、完全切除率・断端陰性率で開腹術に劣らず、高い括約筋温存率、より短い入院期間をもたらした。長期アウトカムも待たれる。