新規HER2抗体薬ZanidatamabがHER2発現胆道がん・大腸がんで有望か
Zanidatamab, a novel bispecific antibody, for the treatment of locally advanced or metastatic HER2-expressing or HER2-amplified cancers: a phase 1, dose-escalation and expansion study

カテゴリー
がん
ジャーナル名
The Lancet Oncology
年月
December 2022
23
開始ページ
1558

背景

HER2の標的化は、すでに乳がんに加えて胃がんなどでも有効性を示しているが、HER2の発現・増幅はその他のがんでもみられることから、アンメットニーズを埋めるべく研究が進められている。
アメリカUniversity of Texas MD Anderson Cancer CenterのMeric-Bernstamらは、HER2発現・増幅の局所進行・遠隔転移固形がん患者を対象として、二重特異的抗体zanidatamab(ZW25)の安全性・抗腫瘍活性を評価する第1相用量漸増・拡大試験を実施した。

結論

推奨用量を特定するための第1部(n=46)では、用量制限毒性は認められず、最大耐用量にも達しなかった。第2部(胆道がん22名、大腸がん28名、乳がん・胃がん以外の固形がん36名)では、2週間隔で20 mg/kgが投与された。第1部・第2部とも治療関連有害事象として、下痢およびインフュージョン・リアクションが多く発生した。グレード3の治療関連有害事象は全体の3%で発生した。第2部の評価可能患者のうち、37%で客観的奏功が認められた。

評価

ファースト・イン・ヒューマンの第1相試験で、乳がん・胃がんを除くHER2陽性固形がん患者に対してzanidatamabが有望性を示した。後続の試験が進行中であり、同一の抗体配列を持つ抗体-薬物複合体zanidatamab zovodotinと合わせて期待がかかる。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(がん)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Journal of Clinical Oncology (JCO)、Journal of the National Cancer Institute(JNCI)、Lancet、The New England Journal of Medicine(NEJM)、Cancer Research (Cancer Res)