REBOAは重症外傷による出血性ショックで蘇生的開胸術に優る
Zone 1 Endovascular Balloon Occlusion of the Aorta vs Resuscitative Thoracotomy for Patient Resuscitation After Severe Hemorrhagic Shock
背景
重症外傷による出血性ショックに対する緊急処置として大動脈遮断を行う場合、蘇生的開胸術(RT)と蘇生的大動脈遮断バルーン(REBOA)のいずれが優るのか?
アメリカUniversity of ColoradoのCralleyらは、多施設前向レジストリAortic Occlusion for Resuscitation in Trauma and Acute Care Surgery(AORTA)に登録された双方の処置経験を持つ施設の救急部門において、zone 1(腹腔動脈上縁より上)でのREBOAおよびRTによる大動脈遮断のアウトカムを比較した(n=991)。
結論
患者年齢(中央値)は32歳、ISS(中央値)は29であった。30.9%がREBOAにより、69.1%はRTにより大動脈遮断を受け、このうち56組が傾向スコアによりマッチングされた。REBOAは死亡率の低下と関連した(78.6% vs. 92.9%)。換気不要日数、ICU外日数、Glasgow Outcome Scoreが5以上の割合には、いずれも有意な差はなかった。Zone 1 REBOAの生存ベネフィットは多変量解析においても確認された(相対リスク 1.25)。サブグループ解析においてもREBOAは、同等以上の生存率をもたらした。
評価
前向レジストリでのデータ解析から、外傷性出血性ショックにおけるREBOA大動脈遮断がRTを上回る生存率をもたらしうることを示唆した。ランダム化比較試験による検証を正当化する。