がん関連血栓症で最も費用効率的なDOACは?
Anticoagulant Therapy for Cancer-Associated Thrombosis: A Cost-Effectiveness Analysis
背景
がん関連血栓症(CAT)に対する新たなオプションとして直接経口抗凝固薬(DOAC)が登場して数年が経つ。
アメリカUC Davis Comprehensive Cancer CenterのGulatiらは、コホート状態遷移決定分析モデルを用いて、成人がん患者におけるエノキサパリン・アピキサバン・エドキサバン・リバーロキサバンによるCAT治療戦略を低分子ヘパリン(LMWH)と比較するネットワークメタアナリシスを実施した。
結論
退役軍人省の連邦給付薬価を用いたベースケースシナリオにおいては、アピキサバンがエノキサパリンとエドキサバンよりも低コストかつ効果的であった。リバーロキサバンはアピキサバンよりわずかに効果的であり、質調整生存年(QALY)あたりの増分費用対効果比(ICER)は493,246ドルであった。GoodRxのリアルワールド薬価データを用いたシナリオでは、リバーロキサバンが最も費用効率的で、ICERはQALYあたり50,053ドルであった。この結果は薬剤支出に非常に敏感で、毎月の薬剤支出が530ドルを超えた場合、アピキサバンに代わって、リバーロキサバンの方が費用効率的となった。
評価
3種のDOACがLMWHよりも有効かつ費用効率的とみなされた。この研究は、薬局に異なる処方箋価格を網羅し、医薬品の割引クーポンを提供する「GoodRx」というサイト/アプリを用いたモデル化を行うことで、現実に患者が支払う金額を、より正確に反映するという分析アプローチを採用した点でも興味深い。