がん患者の呼吸困難にデキサメタゾンは有害無益:ABCD試験
Effect of dexamethasone on dyspnoea in patients with cancer (ABCD): a parallel-group, double-blind, randomised, controlled trial
背景
がん患者の呼吸困難緩和を目的としてコルチコステロイドが用いられる場合があるが、エビデンスによって支えられているわけではない。
アメリカUniversity of Texas MD Anderson Cancer CenterのHuiらは、同施設の外来で呼吸困難を有する(過去1週間の平均NRSスコアが4以上)成人がん患者を、高用量のデキサメタゾンまたは対応プラセボへと2:1で割り付けるランダム化比較試験ABCDを実施した(n=149)。
結論
7日目までのNRSスコアの変化は、デキサメタゾン群で平均−1.6、プラセボ群でも平均−1.6と有意な差はかった。グレード3・4の有害事象として感染症(デキサメタゾン群11% vs. プラセボ群7%)、不眠(8% vs. 2%)、神経精神症状(4% vs. 0%)があった。重篤有害事象はそれぞれ28%、7%で報告された。
評価
高用量のデキサメタゾンは呼吸困難を改善しないだけでなく、有害事象の増加に繋がった。呼吸困難緩和を目的としたルーチンな投与はすべきでない。