陰謀論はがんの原因に対する認識を歪める?
Everything causes cancer? Beliefs and attitudes towards cancer prevention among anti-vaxxers, flat earthers, and reptilian conspiracists: online cross sectional survey
背景
新型コロナウイルスの流行は、社会が陰謀論に対して脆弱であることを改めて浮き彫りにした(インフォデミック)。恒例のBMJクリスマス研究は、陰謀論者がどのような世界観を抱いているのかに焦点を当てた。
スペインCatalan Institute of OncologyのPaytubiらは、アメリカのReddit、4Chan、およびスペインのオンラインフォーラムから参加者を募り、陰謀論とがんの原因に関する信念を評価した(n=1,494)。
結論
209名がCOVID-19ワクチン未接種、112名は代替医療を選好しており、62名は地球が平らだと信じる地球平面説または人型の爬虫類が地球を支配していると信じるレプティリアン陰謀論者であった。確立されたがんの原因(喫煙・飲酒・家族歴・加齢・HIV感染等)についての認識は、確立されていない(神話的mythical)がんの原因(添加物/甘味料や遺伝子組み換え食品の摂取、電磁波など)よりも高かった(63.6% vs. 41.7%)。神話的がん原因のうち最も信じられていたのは添加物/甘味料・ストレス・遺伝子組み換え食品であった。ワクチン未接種者・代替医療選好者・陰謀論者は確立されたがん原因の54.5%を正しく同定し、これは対照の63.6%より低かった。また、神話的がん原因については、わずか16.7%〜25.0%しか正しく同定できなかった。参加者全体の45.0%が質問文「すべてががんの原因であるように思う」に同意し、その割合にグループ間で差はなかった。
評価
ワクチン懐疑論者から、非常に荒唐無稽なレプティリアン陰謀論者まで、がんに関する信念パターンを評価した初の研究である。興味深いのは陰謀論者か否かにかかわらず、半数近い参加者が、「すべてががんの原因である」と感じていた点であり、この曖昧な領域にいかに正しい医療情報をもたらすかが問われる。