機械学習により冠動脈疾患インシリコスコアISCADを開発
Machine learning-based marker for coronary artery disease: derivation and validation in two longitudinal cohorts
背景
冠動脈疾患(CAD)診断への機械学習の利用可能性が探求されている。
アメリカIcahn School of Medicine at Mount SinaiのDoらは、BioMe Biobank・UKBiobank参加95,935 名の電子カルテデータの機械学習により、CAD定量マーカーからCADインシリコスコア(ISCAD)を開発し、両バイオバンクコホートの臨床アウトカム(冠動脈狭窄・閉塞性CAD・多枝病変・全原因死亡・CAD帰結)との関連を評価した。
結論
開発モデルのCAD予測能のAUCは0.95、感度0.94・特異度 0.82であり、BioMe検証セットとホールドアウトセットでは各0.93・0.90・0.88、UK Biobank外部テストセットでは各0.91・0.84・0..83であった。ISCADスコアは、閉塞性CAD・多枝病変・主要冠動脈狭窄のリスクを定量的に予測し、また全原因死亡のハザード比・規模(prevalence)もISCADスコアとともに段階増加した。心筋梗塞再発についても同様の傾向がみられた。高ISCAD(≧0.9)の未診断者の46%が、2014ACC/AHATask ForceガイドラインによるCAD臨床エビデンスを有していた。
評価
すでに相当数の試みのある分野で、最近でもHarvard・IBMによる51予測因子の報告がある(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34950898/)。この論文も他研究の多くと同じく、プログラム・解析内容はブラックボックスであり、著者らは、「他の集団を含めた大規模前向再検証」による「汎用可能で移植可能性の高いバーション」の構築を呼びかけている。