高い血圧目標値はAKI予防に効果なし:メタ解析
Higher blood pressure versus normotension targets to prevent acute kidney injury: a systematic review and meta-regression of randomized controlled trials
背景
腎臓の低灌流は急性腎不全の重要な原因の一つであるが、より高い血圧目標を設定することでAKIを予防することはできるのか。
タイChulalongkorn UniversityのTranらは、血行動態不安定患者(ショック・心停止後・手術)を対象として、高い血圧目標値と正常血圧を比較したランダム化比較試験を検索し、AKI発症率および腎代替療法(RRT)率を評価した。
結論
12試験、5,759名の患者が含まれた。患者の内訳はショック57.0%、非心臓手術29.3%、心臓手術13.7%であった。正常血圧(低い平均血圧[MAP]目標値)と比較して、高MAP目標はAKI率に有意な影響をもたらさなかった。高MAPでのAKI発症リスク比はショック患者で1.10、非心臓手術患者で1.25、心臓手術患者で0.87であった。ただし、高血圧既往を有するショック患者では、70 mmHg以上のMAP目標によりRRTリスクが有意に低下した(1.20)。
評価
65〜70 mmHgを超えるMAP目標値にベネフィットは認められず、かえってAKIを増加させる可能性もあった。高血圧を有するショック患者においては、高いターゲットが有益な可能性が示唆されており、検証が正当化される。