多重治療歴の再発・難治多発性骨髄腫でGPRC5D二重特異性抗体talquetamabが奏効率7割
Talquetamab, a T-Cell-Redirecting GPRC5D Bispecific Antibody for Multiple Myeloma

カテゴリー
がん
ジャーナル名
The New England Journal of Medicine
年月
December 2022
387
開始ページ
2232

背景

Gタンパク質共役型受容体GPRC5Dは、多発性骨髄腫(MM)における新たな治療標的として注目を集めている。
アメリカMount Sinai School of MedicineのChariらは、既存治療で進行をみた再発・難治MM患者に対し、CD3とGPRC5Dに結合する二重特異性抗体talquetamabを毎週/隔週/毎月で静注/皮下注する第1相用量漸増・用量拡大試験MonumenTAL-1を実施した。

結論

中央値6ラインの治療歴を有する232名がtalquetamab投与を受けた。第2相試験の推奨用量は、毎週405 μg/kgまたは隔週800 μg/kgに決定した。30名が毎週405 μg/kg、44名が隔週800 μg/kgを受けており、有害事象としてサイトカイン放出症候群、皮膚関連事象、味覚障害が認められた。サイトカイン放出症候群は1名を除きグレード2以下であった。フォローアップ期間(中央値)11.7ヵ月、4.2ヵ月時点で、奏効率はそれぞれ70%、64%であり、奏効持続期間の中央値は10.2ヵ月、7.8ヵ月であった。

評価

先行する各種治療に抵抗性となった再発・難治患者で、7割という高い奏効率を記録した。この疾患の治療を大きく変えるポテンシャルを持ったファーストインクラス薬である。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(がん)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Journal of Clinical Oncology (JCO)、Journal of the National Cancer Institute(JNCI)、Lancet、The New England Journal of Medicine(NEJM)、Cancer Research (Cancer Res)