重症患者の気管挿管、プロポフォール使用は循環虚脱リスク?
Peri-intubation Cardiovascular Collapse in Patients Who Are Critically Ill: Insights from the INTUBE Study
背景
挿管時における重大な有害事象として循環虚脱があるが、その予防は可能か。
イタリアUniversity of TurinのRussottoらは、5大陸29ヵ国197施設で、重症患者における挿管プラクティスの実態を調査した国際的前向コホート研究INTUBEにおいて、挿管前後の循環不安定/虚脱(収縮期血圧65 mmHg未満または30分超持続する90 mmHg未満、昇圧剤使用、15 ml/kg超のボーラス輸液、心停止)と関連する変数を調査した(n=2,760)。
結論
挿管前後の循環不安定/虚脱は43.4%で発生した。高齢・頻脈・低血圧・低酸素飽和度のほかに、プロポフォールの使用(オッズ比 1.28)がこのイベントと関連した。循環不安定/虚脱のあった患者では、ICU死亡率が高かった(オッズ比 2.47)。逆確率重み付け解析では、プロポフォールの使用は循環不安定/虚脱と独立に関連する唯一の因子であった(オッズ比 1.23)。導入前の昇圧剤およびボーラス輸液は、循環不安定/虚脱を有意に減少させなかった。
評価
重症患者の気管挿管に関する大規模な国際調査から、挿管に頻用されるプロポフォールが循環虚脱のリスクを高める可能性を明らかにした。代替戦略を探る臨床試験が予定されているという。