高リスク急性肺塞栓へのカテーテル血栓溶解療法+抗凝固療法:CANARY試験
Catheter-Directed Thrombolysis vs Anticoagulation in Patients With Acute Intermediate-High-risk Pulmonary Embolism: The CANARY Randomized Clinical Trial
背景
PEITHO試験は、肺塞栓症(PE)に対する血栓溶解療法が塞栓の進行を予防することを示しているが、一方で出血イベントの増加も伴う。
イランIran University of Medical SciencesのSadeghipourらは、テヘランの大規模循環器センター2施設の、中・高リスク急性PE患者を対象に、従来カテーテル血栓溶解療法(cCDT、24時間の0.5 mg/catheter/hアルテプラーゼ)+抗凝固療法と抗凝固療法単独を比較するランダム化比較試験CANARYを実施した。
結論
94名が登録された後、COVID-19パンデミックにより試験は中止された。3ヵ月後の心エコーフォローアップにおいて(n=85)、右室拡大(RV/LV ≧0.9)が見られた患者の割合は、cCDT群で4.3%、抗凝固療法群で12.8%であった(オッズ比 0.31)。3ヵ月後のRV/LV比(中央値)はcCDT群で有意に小さく(0.7 vs. 0.8)、72時間時点でRV/LV比が0.9を超えた患者はcCDT群で減少した(27.0% vb. 52.1%、オッズ比 0.34)。
評価
この試験もまた新型コロナのあおりを受けて早期終了したものである。予定の登録数には満たなかったものの、CDT+抗凝固療法戦略では抗凝固療法単独の場合よりもアウトカムが改善する傾向がみられた。中・高リスクPE患者での最良の戦略を決定すべく、現在もHI-PEITHO試験(NCT04790370)、PEITHO-3試験(NCT04430569)などが進行中である。