心停止後患者での院外SpO2目標は低すぎると危険?:EXACT試験
Effect of Lower vs Higher Oxygen Saturation Targets on Survival to Hospital Discharge Among Patients Resuscitated After Out-of-Hospital Cardiac Arrest: The EXACT Randomized Clinical Trial
背景
近年、心停止から蘇生した患者での酸素化目標値は高すぎない方がよいと示唆されており、2022年に発表されたBOX試験の結果は、制限的な目標値の安全性を確認している。
オーストラリアMonash UniversityのBernardらは、院外心停止後に自己心拍が再開し、100%酸素投与中の末梢血酸素飽和度(SpO2)が95%以上の昏睡患者を、ICU到着まで90〜94%(介入群)または98〜100%(標準ケア群)を目標とした、酸素投与へと割り付けるランダム化比較試験EXACTを実施した。
結論
COVID-19パンデミックにより、428名がランダム化された時点で試験は早期終了した。生存退院率は介入群で38.3%、通常ケア群では47.9%であった(未調整オッズ比 0.68)。事前指定された9つの副次アウトカムのうち8つには有意差がなかったが、集中治療前の低酸素血症エピソードは介入群で増加した(31.3% vs. 16.1%)。
評価
計画の1/3に満たない登録数で終了したこともあって明確なアウトカム差には至らなかったものの、90〜94%の酸素飽和度目標が生存率を悪化させる可能性が示唆された。心停止後昏睡患者での酸素化目標値については複数のRCT結果が存在するが、院外での管理に焦点を当てた研究は貴重で、現段階では98〜100%を目標として管理するのが望ましいだろう。