ミトコンドリア病成人患者の悪性心アウトカム:最大のケースシリーズ分析
Cardiac Outcomes in Adults With Mitochondrial Diseases
背景
JACCは、ミトコンドリア病の心臓病態に関する2論文を併載している。
フランスUniversite de ParisのWahbiらは、ミトコンドリア病患者600名における心不全(HF)・不整脈MACEの発生率およびその予測因子を後向解析した。
結論
追跡期間中央値6.67年で、4.9%がHFエンドポイントに達した(非末期HFによる入院19名、心臓移植2名、HF死亡8名)。他の5.1%が不整脈MACEに達した(3度/II型2度AVB21名、SSS4名、心突然死5名)。HFの予測因子は、m.3243 A>G変異(HR 4.3)・伝導障害(HR 3.0)・LVH(HR 2.6)・LVEF<50%(HR 10.2)・VPB(HR 4.1)であった。不整脈の予測因子は、単一大規模mtDNA欠失(HR 4.3)・伝導障害(HR 6.8)・LVEF<50%(HR 2.7)であった。これら予測のcインデックスは、HF・不整脈MACEで各0.91・0.80であった。
評価
遺伝子レベル解析が完備化した今世紀に入り、最長の20年に及ぶケースシリーズ分析である。このフランス論文が悪性予後の予測因子同定を試みた一方、併載イタリア論文は、m.3243A>G バリアント患者への心移植の可否に焦点を合わせている(https://www.jacc.org/doi/abs/10.1016/j.jacc.2022.04.067)。


