サクビトリル-バルサルタンは準推奨用量でもHFrEF患者に有益
Dose-Response to Sacubitril/Valsartan in Patients With Heart Failure and Reduced Ejection Fraction
背景
PROVE-HFは、駆出率低下型心不全(HFrEF)へのARNI(サクビトリル-バルサルタン:Sac/Val)の効果を示してきているが、臨床試験用量がリアルワールドで達成されない場合が多い。
同試験のアメリカJanuzziら(Massachusetts General Hospital)は、同患者(LVEF<40%)794名を対象に、Sac/Val効果の用量依存性を検討する12ヵ月の前向観察研究を行った。評価指標は、バイオマーカー(NT-proBNP・hs-cTnT・可溶性ST2・HANP・尿中CGMP)・KCCQ 23項目・心臓リモデリング指標(LVEF・LA[V]VI・E/e')のベースラインから12ヵ月間の変化である。
結論
1日の平均投与量は、低用量112mg、中用量342mg、高用量379mgであった。低・中・高全用量で同等なバイオマーカー・KCCQ-23スコア・心リモデリングの改善があった。LVEF絶対値改善の中央値は、低・中・高用量で、各9.3%・8.7%・10.2%であった。
評価
ARNIを標準的心不全治療(GDMT)に組み込んだPROVE-HFの一連の研究で、GDMT推奨量以下でも有益であることを保証した。最近の別分析では、高用量を維持した場合MRが少ない、としている(https://www.ahajournals.org/doi/abs/10.1161/CIRCULATIONAHA.122.061693)。