小児がんサバイバーの二次乳がんリスクは低下傾向、胸部RTの削減が奏功か
Association of Changes in Cancer Therapy Over 3 Decades With Risk of Subsequent Breast Cancer Among Female Childhood Cancer Survivors: A Report From the Childhood Cancer Survivor Study (CCSS)
背景
小児がんの生存率は大きく改善しているが、小児がん経験者(サバイバー)の二次がんリスクは平均より大幅に高く、治療毒性軽減のための努力が続けられている。
アメリカUniversity of ChicagoのHendersonらは、1970〜1999年に21歳未満で診断され、5年以上生存した小児がんサバイバーの後向コホートにおいて、2020年までのフォローアップを行い、放射線治療・化学療法の用量の経時的変化と乳がん発症率の関連を定量化した(n=11,550)。
結論
489名で、583件の乳がん発症があった(浸潤性乳がん 427件、DCIS 156件)。45歳までの累積罹患率は8.1%であった。年齢・性別・出生年をマッチさせた一般集団と比べて、サバイバーの乳がんリスクは標準化罹患率比(SIR)で6.6倍であった。年代が下るにつれて、胸部および骨盤への放射線療法は減少し、アントラサイクリン系化学療法が増加した。これに伴い、浸潤性乳がんの発症は5年あたり18%減少した。
評価
世界最大規模の小児がんサバイバーコホートChildhood Cancer Survivor Studyからの最新報告である。主として、胸部放射線治療の実施率や線量の低下に伴って、サバイバーの乳がんリスクは経時的に低下していた。サバイバーでのスクリーニング頻度を導く上でも重要な情報となる。


