急性膵炎での積極的輸液は有害か：WATERFALL試験

Aggressive or Moderate Fluid Resuscitation in Acute Pancreatitis

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背景

急性膵炎の患者では、健常成人が必要とする量を大きく上回る水分が必要とされ、ガイドラインでも積極的輸液療法が「提案」されているが、それを支持するエビデンスは貧弱である。
スペインDr. Balmis General University Hospitalのde-Madariaらは、18施設の急性膵炎患者を、20 ml/kgの乳酸リンゲル液ボーラス投与ののち、3 ml/kg/時間で投与を行う積極的輸液療法群、または循環血液量減少のある患者でのみ10 ml/kgのボーラス投与を行い、その後1.5 ml/kg/時間の投与を行う中等量輸液療法群へと割り付け、中等症・重症の膵炎発症および体液過剰への影響を評価するランダム化比較試験WATERFALLを実施した。

結論

249名の登録時点で初回中間解析が行われた（計画サンプルサイズは744名）。入院中の中等症・重症膵炎の発症率は、積極的輸液群で22.1%、中等量輸液群で17.3%と差はなく（調整相対リスク 1.30）、体液過剰はそれぞれ20.5%、6.3%で発生した（2.85）。この結果に伴い、試験は早期中止となった。入院期間（中央値は）は、積極的輸液群で6日、中等量輸液群で5日であった。

評価

意外にも初期の積極的輸液は、中等症以上の膵炎発症を予防せず、むしろ体液過剰を引き起こした。実践に変更を迫る結果である。