亜区域枝の肺塞栓にも抗凝固療法が必要か:SSPE研究
Risk for Recurrent Venous Thromboembolism in Patients With Subsegmental Pulmonary Embolism Managed Without Anticoagulation: A Multicenter Prospective Cohort Study
背景
亜区域枝の(subsegmental)孤立性肺塞栓症は、近年のCT技術の進歩により認識されるようになった血栓症だが、これを治療すべきかについては議論がある。
カナダUniversity of OttawaのLe Galらは、診断時に下肢静脈エコーが陰性であった孤立性亜区域枝肺塞栓症(SSPE)患者を対象として、抗凝固療法を行わない管理下での静脈血栓塞栓症の再発率を調査する多施設共同前向研究を実施した。
結論
予定された300名に満たない292名が登録された時点で、再発率が中止基準を満たしたため、登録は中止された。一次アウトカム解析の対象となった266名のうち、8名で一次アウトカム(静脈血栓塞栓症)が発生し、90日間の累積発症率は3.1%であった。単発の亜区域枝塞栓での累積再発率は2.1%、多発では5.7%であった。致死的肺塞栓症の再発はなかった。
評価
同著者による以前のレビューでは、SSPEの再発率は低いと推定されていたが(https://doi.org/10.1111/j.1538-7836.2012.04804.x)、10年におよぶこの前向研究は、再発率が予想よりも高いことを明らかにした。この集団における抗凝固療法の使用を支持するデータである。