女性外傷患者は治療が遅れる:アメリカ
Sex-Based Disparities in Timeliness of Trauma Care and Discharge Disposition
背景
近年、女性患者と男性患者で急性期に受けられるケアに差がある可能性を示唆するデータが挙がっている。
アメリカNorthwestern UniversityのIngramらは、同国のレベルI-III外傷センターによるTrauma Quality Improvement Programデータベースを用いた後向コホート研究により、Injury Severity Scoreが15超で、外傷性脳損傷・腹腔内損傷・骨盤骨折・大腿骨骨折・脊椎損傷の最終診断を受けた成人外傷患者の性別と、介入に要する時間との関連を調査した(n=28,332)。
結論
70.6%が男性、29.4%が女性患者であった。男性患者では腹部・脊髄損傷が多く、女性患者では大腿骨・骨盤骨折が多かった。女性患者は救急滞在時間が有意に長く(中央値184分 vs. 172分)、トリアージが行われるまでの時間が長く(52分 vs. 49分)、介護施設・長期療養施設への退院確率が高かった(男性患者のオッズ比 0.72)。
評価
女性患者ではわずかにケアが遅れる傾向にあり、さらに長期療養施設への退院が多かった。女性患者において症状の緊急性を過小評価する何らかのバイアスが存在してる可能性もあり、確認が必要である。


