がん臨床試験の第1相における奏効率は過去20年で2倍に
Early drug development in solid tumours: analysis of National Cancer Institute-sponsored phase 1 trials
背景
第2相までの試験において、一定の有望性が認められた上で行われる第3相試験と比べて、第1相試験の治験薬への期待は相対的に低く、このことが試験への参加を躊躇させる要因となっている。
MD Anderson Cancer CenterのChiharaらは、2000年から2019年にNational Cancer Instituteが資金提供した医師主導による固形がんの第1相試験を分析し、治療毒性と奏効の経時的傾向を検討した。
結論
465件のプロトコル(13,847名の患者、261種の薬剤)が分析の対象となった。このうち31%が単剤療法であった。治療関連死亡は経時的に変化せず、全期間で0.7%であった。治療中死亡リスクは8.0%であった。客観的奏効率は全期間で12.2%、完全奏効率は2.7%であった。2000〜2005年の客観的奏効率は9.6%であったが、2013〜2019年には18.0%へ、同期間に完全奏効率は2.5%から4.3%へ上昇した。多剤併用療法は奏効率が高く(15.8% vs. 3.5%)、薬剤クラスごとの奏効率は癌種によって異なっていた。
評価
第1相試験における奏効率は過去20年間で2倍近くに上昇した。有効性についてのデータが無い中で参加しなければならない第1相試験の患者には、心強いデータといえる。