失神患者のその後の運転事故リスクは救急患者全体と変わらず
Syncope and the Risk of Subsequent Motor Vehicle Crash: A Population-Based Retrospective Cohort Study
背景
失神の原因には再発性のものがあり、この場合、自動車運転の事故リスクが上昇する可能性がある。
カナダUniversity of British ColumbiaのStaplesらは、同国ブリティッシュ・コロンビア州の都市部救急外来を受診した初発失神患者(n=9,223)を、年齢・性別が一致する同月受診の対照患者(n=34,366)と1:4でマッチングし、自動車事故リスクを検討する後向観察コホート研究を実施した。
結論
自動車事故の粗発生率は、一般集団の8.2件(100運転-年あたり)と比べて、失神群(12.2件)、対照群(13.2件)とも高かった。受診後1年間に事故を経験した患者の割合は、失神群9.2%、対照群10.1%で有意な差はなかった(調整ハザード比0.93)。受診後30日の事故リスクも差はなく(1.07)、高リスクのサブグループ(65歳超、心原性失神、CSRSが1以上)でも差はなかった。
評価
意外にも失神患者のその後の運転事故リスクは、他の受診原因をもつ救急患者全体と差がなかった。すべての急性疾患患者を対象に運転制限を指導することは現実的ではなく、高リスクな集団を特定する方法が必要とされる。


