コロナ下で児童虐待関連の救急受診が減少、ただし真の減少ではない?
Emergency Department Child Abuse Evaluations During COVID-19: A Multicenter Study
背景
新型コロナウイルス疾患COVID-19のパンデミックは、各家庭の状況、メンタルヘルス、医療探索行動などに広範な影響を与えたが、児童虐待に関連する救急受診にどのような変化をもたらしたのか。
Perelman School of MedicineのChaiyachatiらは、Pediatric Emergency Care Applied Research Network(PECARN)レジストリデータに基づく後向研究により、小児の身体的虐待診断、高リスク外傷診断、骨折検査の3指標により、虐待関連受診の変化を検討した。
結論
全1,579,014件の受診のうち、10,270件(0.7%)で身体的虐待の可能性があった。身体的虐待診断(1日あたり4.6件から3.8件へ)、高リスク外傷(3.28件から2.95件へ)はパンデミック期間中に有意に減少し、骨折検査には有意な差はなかった。調整済みモデルにおいて、虐待診断は19%減少しており(率比0.81)、特に2〜5歳と6-12歳のグループで顕著であった。高リスク外傷は10%の減少であった。いずれの指標においても減少がみられたのは、低重症度に限られた。
評価
パンデミック期間中、虐待関連の救急受診は減少する傾向にあった。ただし、重症度の高い虐待関連受診は減少していないことから、虐待が真に減少したわけではなく、認知件数が減少しただけの可能性もある。