THEY LIVE WE SLEEP:がん細胞は睡眠時間中に転移する
The metastatic spread of breast cancer accelerates during sleep

カテゴリー
がん
ジャーナル名
Nature
年月
June 2022
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開始ページ
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背景

がんの全身への転移は、血液循環への腫瘍細胞の播種(CTC)によってもたらされるが、CTCの生成メカニズムは十分に知られていない。
スイスSwiss Federal Institute of Technology(ETH)ZurichのDiamantopoulouらは、乳がん女性30名において1日の異なるタイミング(安静時間と活動時間)で血液サンプルを採取してCTC量を比較し、その知見をマウスモデルにおいて、さらに検証した。

結論

身体の休止時間(午前4時)と活動時間(午前10時)の血液サンプルには、CTC存在量に有意な違いがあり、CTC検出の多くは午前4時のサンプルで認められた。マウスモデルでもこの知見は確認された。また、各時点で採取された細胞の転移能を比較すると、休止時間の細胞はコロニー形成能に優った。

評価

これまで漠然と、腫瘍は絶えず、または機械的刺激に伴ってCTCを放出していると考えられてきたが、本研究は睡眠時間中により、多くのCTCが生成されること、睡眠時間中のCTCは転移能が高いことを明らかにした。時間治療(chronotherapy)の有効性にも関わる問題であり、より詳細な研究が求められる。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(がん)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Journal of Clinical Oncology (JCO)、Journal of the National Cancer Institute(JNCI)、Lancet、The New England Journal of Medicine(NEJM)、Cancer Research (Cancer Res)