HER2低発現乳がん治療の新時代、トラスツズマブ デルクステカンが効果:DESTINY-Breast04試験
Trastuzumab Deruxtecan in Previously Treated HER2-Low Advanced Breast Cancer

カテゴリー
がん
ジャーナル名
The New England Journal of Medicine
年月
June 2022
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背景

乳がん患者の4割程度でHER2の低レベル発現がみられるが、現在利用されているHER2標的治療はHER2低発現患者に対して有効性を示せていない。
Memorial Sloan Kettering Cancer CenterのModiらは、1-2ラインの化学療法歴を有するHER2低発現転移性乳がん患者を、トラスツズマブ デルクステカンまたは主治医選択化学療法へと2:1で割り付ける第3相ランダム化比較試験DESTINY-Breast04を実施した(n=557)。

結論

88.7%がホルモン受容体陽性(HR+)であった。HR+コホートでの無増悪生存期間(中央値)は、トラスツズマブ デルクステカン群で10.1ヵ月、化学療法群で5.4ヵ月であり(ハザード比0.51)、全生存期間の中央値は23.9ヵ月、17.5ヵ月であった(0.64)。全患者コホートでも無増悪生存期間、全生存期間について同様の効果が認められた。グレード3以上の有害事象は、トラスツズマブ デルクステカン群の52.6%、化学療法群の67.4%で発生した。トラスツズマブ デルクステカン投与患者の12.1%に薬剤関連の間質性肺疾患・肺炎が発症し、0.8%が死亡した。

評価

日米共同の第1相実証試験で活性を示していたが(https://www.doi.org/10.1200/JCO.19.02318)、この第3相試験では、PFS・OSをともに有意に改善した。HER2低発現乳がんの治療に画期を記す有効結果である。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(がん)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Journal of Clinical Oncology (JCO)、Journal of the National Cancer Institute(JNCI)、Lancet、The New England Journal of Medicine(NEJM)、Cancer Research (Cancer Res)