挿管中のボーラス輸液投与は低血圧を予防しない:PREPARE II試験
Effect of Fluid Bolus Administration on Cardiovascular Collapse Among Critically Ill Patients Undergoing Tracheal Intubation: A Randomized Clinical Trial

カテゴリー
救急医療
ジャーナル名
The Journal of the American Medical Association
年月
June 2022
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背景

気管挿管中には換気による胸腔内圧上昇、使用薬剤による血管の拡張などから低血圧が生じやすく、重大な結果と関連するが、低血圧をボーラス輸液投与により予防することができるか?
University of AlabamaのRussellらは、同国11施設のICUで鎮静・陽圧換気を伴う気管挿管を受ける成人重症患者を登録し、500 mLの静脈内ボーラス輸液投与またはボーラスなしのいずれかに割り付けるランダム化比較試験を実施した(n=1,067)。

結論

心血管虚脱イベント(挿管2分以内の昇圧剤、低血圧、1時間以内の心停止・死亡)は、ボーラス群で21.0%、非ボーラス群では18.2%であった。イベントの内訳は、2分以内の昇圧剤の新規使用・増量が各群20.6%、17.6%、65 mmHg未満の収縮期血圧は3.9%、4.2%、1時間以内の心停止は1.7%、1.5%、死亡は0.7%、0.6%であった。28日死亡率はボーラス群40.5%、非ボーラス群42.3%であった。

評価

血行動態の不安定化を500 mlの輸液によって予防することはできなかった。ルーチン的なボーラス輸液は不要と考えられる。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)