COVID-19急性呼吸不全、覚醒下の腹臥位療法は挿管予防せず:COVI-PRONE試験
Effect of Awake Prone Positioning on Endotracheal Intubation in Patients With COVID-19 and Acute Respiratory Failure: A Randomized Clinical Trial
背景
COVID-19による呼吸不全患者では、非挿管覚醒下の腹臥位療法により挿管リスクを減らし得ることが示唆されている。
カナダMcMaster UniversityのAlhazzaniらは、カナダ・クウェート・サウジアラビア・アメリカの21施設で酸素投与または非侵襲的換気を必要とする非挿管のCOVID-19成人患者を対象として、覚醒下腹臥位療法または通常ケアを割り付け、挿管リスクへの影響を評価するランダム化比較試験を実施した(n=400)。
結論
ランダム化から最初の4日間の腹臥位時間は、腹臥位群で中央値4.8時間/日、対照群で0時間/日であった。30日目までの挿管率は、腹臥位群34.1%、対照群40.5%であった(非有意)。腹臥位は60日死亡率(ハザード比0.93)、侵襲的・非侵襲的換気不要日数、ICU不要日数なども有意に低下させなかった。重篤な有害事象はなかったが、腹臥位療法群の10%で、筋骨格筋の痛み・不快感や低酸素などの有害事象が報告された。
評価
以前の試験は覚醒下腹臥位療法のベネフィットを示唆していたが(https://doi.org/10.1016/S2213-2600(21)00356-8)、本試験では挿管率、死亡率とも有意な改善は認められなかった。検出力不足の可能性がある一方、本試験の腹臥位実施時間が目標(8〜10時間)に届かなかった事実は、腹臥位療法の実際的課題も示している。