膀胱がんでのロボット支援下膀胱全摘術で合併症率・QOLが改善:iROC試験
Effect of Robot-Assisted Radical Cystectomy With Intracorporeal Urinary Diversion vs Open Radical Cystectomy on 90-Day Morbidity and Mortality Among Patients With Bladder Cancer: A Randomized Clinical Trial
背景
膀胱がんに対するロボット支援下根治的膀胱全摘除術(RARC)は、RAZOR試験において開腹膀胱全摘除術(ORC)に非劣性であることが示されているが、同試験では尿路変向術は体腔外で行っており、体腔内尿路変向術(ICUD)と組み合わせたベネフィットは不明である。イングランドUniversity of SheffieldのCattoらは、遠隔転移のない膀胱がん患者を、RARC+ICUDまたはORCへと割り付け、90日生存率その他のアウトカムを比較する多施設ランダム化比較試験iROCを実施した(n=338)。
結論
術後90日までの生存退院日数は、ロボット手術群で82日、開腹群で80日であった。血栓性合併症(群間差-6.5%)、創傷合併症(-11.7%)はロボット手術群で少なかった。5週時点でのQOLは開腹群で悪化しており、5週時点での生涯スコアも高かった。フォローアップ期間中央値18.4ヵ月のがん再発率(18% vs. 16%)、全原因死亡率(14.3% vs. 14.7%)に差はなかった。
評価
尿路変向術まで含めて非開腹的に行うRARCにより、入院期間が短縮、合併症が減少し、短期QOLもロボット手術群で良好であった。ロボット支援手術の導入を後押しする結果である。