累積血圧の認知症・死亡リスクはSBPとDBPで逆？
Association of Cumulative Blood Pressure With Cognitive Decline, Dementia, and Mortality
背景
血圧（BP）上昇は高齢者の認知症発症リスクを高めるとされる。中国Peking UniversityのXieらは、HRS（Health and Retirement Study；n=9,294）およびELSA（English Longitudinal Study of Ageing；n=7,566）のデータに基づき、認知機能不全のない成人における長期累積血圧と認知機能低下・認知症発症・全死亡との関連を検討する後向解析を行った。
結論
累積収縮期血圧（SBP)・脈圧の上昇と、認知機能低下（p＜0.001）・認知症発症（p＜0.001）・全死亡（p＜0.001）との独立な関連を認めた。他方、累積拡張期血圧（DBP）はそれらと有意に逆相関していた。関連には用量反応関係があり、2コホートで同様であった。
評価
累積SBPの重要性は、従前の結果の拡張である。累積DBPと認知症発症・死亡リスクとの逆相関に関してはより論争的だが、支持データが複数存在する（https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2776530）。DBPの「推奨域」こフォーカスしたさらなる研究が正当化される。
