コロナ下で乳がんの発見が遅れている
Comparison of Early- and Late-Stage Breast and Colorectal Cancer Diagnoses During vs Before the COVID-19 Pandemic
背景
新型コロナウイルス感染症COVID-19のパンデミック下にあって、がん検診の受診率が大きく低下したことが報告されている。University of California San Diego HealthのZhouらは、2019年と2020年にがんの新規診断・セカンドオピニオンのために同施設を受診したすべてのがん患者の病期を調査し、早期または進行状態での乳がん・大腸がんの発症率を比較した。
結論
がん患者全体の病期分布は2019年と2020年で大きな差はなく、I期患者の割合はそれぞれ31.9%・29.0%・IV期患者は26.0%・26.4%であった。乳がん患者では、I期患者の割合が2019年の63.9%から、2020年には51.3%へと低下し(オッズ比1.67)、IV期患者は1.9%から6.2%へと増加した(0.33)。2021年の1-3月期にもこの傾向は持続していた。
評価
大腸がん・乳がんでは検診の有効性が確立されているが、この施設では進行したがんの割合が増加しており、コロナ下での診断の遅れが示唆された。日本対がん協会などの調査でも早期での診断数が大きく減少しており、進行がんの増加が懸念されている(https://www.jcancer.jp/news/12418)。