カナダ失神リスクスコア(CSRS)を国際検証
International Validation of the Canadian Syncope Risk Score: A Cohort Study

カテゴリー
救急医療
ジャーナル名
Annals of Internal Medicine
年月
April 2022
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開始ページ
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背景

カナダ失神リスクスコア(Canadian Syncope Risk Score)は、救急外来の失神患者でリスク層別化を行うために開発された臨床意思決定ルールであり、その精度はカナダ国内での大規模コホート研究により検証済である。スイスUniversity of BaselのZimmermannらは、3大陸8ヵ国の失神後12時間以内に救急を受診した40歳以上の患者を対象に、CSRSともう一つの検証済スコアOsservatorio Epidemiologico della Sincope nel Lazioを比較する前向コホート研究を実施した(n=2,283)。

結論

30日以内の一次複合アウトカム(重篤な臨床・処置イベント)は7.2%で発生、処置介入を除く二次複合アウトカムは3.1%で発生した。CSRSの予後予測パフォーマンスは、一次アウトカム(AUC, 0.85 vs. 0.74)・二次アウトカム(0.80 vs. 0.69)ともOESILスコアを上回った。低リスク分類患者における一次複合アウトカム率は、CSRSで0.6%、OESILスコアで1.5%と、CSRSの方が安全であった。ただし、臨床医による失神の分類(CSRSの構成項目)のみの変数によるモデルでも、CSRSと同等の弁別性能を有した(一次アウトカムのAUC, 0.83)。

評価

カナダ国内での検証(http://doi.org/10.1001/jamainternmed.2020.0288)に続くCSRSの外部検証であり、高い予後予測パフォーマンスを持つことを確認した。ただし、この精度はもっぱら救急医の退院時診断という1変数で実現可能なものであることも明らかになり、他の7項目が本当に必要なのかという疑問が残されることになった。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)