2cm以下の非細胞肺がんでの区域切除は肺葉切除に劣らず:JCOG0802試験
Segmentectomy versus lobectomy in small-sized peripheral non-small-cell lung cancer (JCOG0802/WJOG4607L): a multicentre, open-label, phase 3, randomised, controlled, non-inferiority trial
背景
肺がんに対する標準術式は肺葉切除であるが、小型の肺がんに対して切除範囲を限定した区域切除が可能であれば、呼吸機能を維持した根治的治療が可能になる。日本St Marianna University School of Medicine(聖マリアンナ医科大学)のSajiらは、日本国内70施設のIA期非小細胞肺がん(腫瘍径2cm以下)患者を、肺葉切除または区域切除へと割り付け、全生存率を比較する第3相ランダム化比較試験JCOG0802/WJOG4607Lを実施した(n=1,106)。
結論
フォローアップ期間7.3年(中央値)での5年全生存率は、区域切除群で94.3%、肺葉切除群で91.1%であり、区域切除群の非劣性および優越性が示された。1年後のFEV1減少の群間差は3.5%であり、事前指定された臨床的意義のある差には達しなかった。5年無再発生存率は区域切除群88.0%、肺葉切除群87.9%であった。
評価
LCSG821試験以来初めて、区域切除が肺葉切除に劣らないこと、むしろ生存期間を延長することを実証した。標準治療を書き換えるエビデンスとなるだろう。同じテーマで、アメリカを中心としたCALGB/Alliance 140503試験も行われている(NCT00499330)。