COVID-19低酸素血症に対して高気圧酸素治療が有望か
Hyperbaric oxygen as an adjuvant treatment for patients with COVID-19 severe hypoxaemia: a randomised controlled trial
背景
新型コロナウイルス感染症COVID-19でみられる重度の低酸素血症は、高い死亡リスクと関連する。アルゼンチンArgentine Association of Hyperbaric Medicine and ResearchのCannellottoらは、酸素投与にも関わらず、SpO2が90%以下の重症低酸素血症を有するCOVID-19患者に対して、7日間の高気圧酸素治療(1.45絶対気圧で90分間を1日1回5セッション以上)または標準治療を割り付ける多施設共同ランダム化比較試験を実施した。
結論
40名がランダム化された後、中間解析に基づき試験は早期中止された。入院時の症状として呼吸困難・発熱・嚥下困難が多く、SpO2は平均85.1%であった。高気圧酸素治療群では平均6.2回のセッションが実施された。低酸素血症の改善(SpO2≧93%)までの期間は、治療群で中央値3日、対照群で9日と、治療群で短かった。3日目までの低酸素血症改善のオッズ比は23.2であった。30日以内のARDS・人工呼吸・死亡に有意差は認められなかった。
評価
高気圧酸素治療の一次アウトカム利益が確認され、試験は有効中止となった。COVID-19における酸素化改善法のオルタナティブとなりうるもので、より大規模な検証が必要である。