重症TBI小児での高浸透圧療法、マンニトールより高張食塩水か
Comparison of Intracranial Pressure Measurements Before and After Hypertonic Saline or Mannitol Treatment in Children With Severe Traumatic Brain Injury
背景
外傷性脳損傷(TBI)患者の管理では頭蓋内圧(ICP)の亢進による二次性損傷を予防することが重要だが、高張食塩水とマンニトールのどちらが優るのか。
University of PittsburghのKochanekらは、ICP指向治療段階で何らかの高浸透圧療法をボーラス投与で受けた小児患者を対象に、高張食塩水・マンニトールがICP低下や頭蓋灌流圧(CCP)上昇をもたらすかを検討した(n=521)。
結論
患者のGlasgow Coma Scaleは平均5.2であった。ボーラス高張食塩水はICP低下(1.03 mmHg)とCPP増加(1.25 mmHg)に関連し、マンニトールはCPP増加と関連した(1.20 mmHg)。高張食塩水は、マンニトールと比してより大きなICP低下と関連したが、調整後には関連が認められなかった。ICPが20 mmHg超、25 mmHg超、30 mmHg超の場合、高張食塩水はマンニトールを上回るICP低下をもたらした。
評価
この多施設研究は、高張食塩水・マンニトールとICP低下・CPP増加との関連は強固ではなかったものの、高張食塩水がICP低下・CPP増加と関連することを明らかにした。小児TBIの高浸透圧療法に貴重なデータをもたらす。