重症TBI小児での高浸透圧療法、マンニトールより高張食塩水か
Comparison of Intracranial Pressure Measurements Before and After Hypertonic Saline or Mannitol Treatment in Children With Severe Traumatic Brain Injury

カテゴリー
救急医療
ジャーナル名
JAMA Network Open
年月
March 2022
5
開始ページ
e220891

背景

外傷性脳損傷(TBI)患者の管理では頭蓋内圧(ICP)の亢進による二次性損傷を予防することが重要だが、高張食塩水とマンニトールのどちらが優るのか。
University of PittsburghのKochanekらは、ICP指向治療段階で何らかの高浸透圧療法をボーラス投与で受けた小児患者を対象に、高張食塩水・マンニトールがICP低下や頭蓋灌流圧(CCP)上昇をもたらすかを検討した(n=521)。

結論

患者のGlasgow Coma Scaleは平均5.2であった。ボーラス高張食塩水はICP低下(1.03 mmHg)とCPP増加(1.25 mmHg)に関連し、マンニトールはCPP増加と関連した(1.20 mmHg)。高張食塩水は、マンニトールと比してより大きなICP低下と関連したが、調整後には関連が認められなかった。ICPが20 mmHg超、25 mmHg超、30 mmHg超の場合、高張食塩水はマンニトールを上回るICP低下をもたらした。

評価

この多施設研究は、高張食塩水・マンニトールとICP低下・CPP増加との関連は強固ではなかったものの、高張食塩水がICP低下・CPP増加と関連することを明らかにした。小児TBIの高浸透圧療法に貴重なデータをもたらす。

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取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)