米での適応患者に対する大動脈弁置換術の実施率は50%以下
Trends in Utilization of Aortic Valve Replacement for Severe Aortic Stenosis
背景
TAVRの導入以後大動脈弁狭窄症(AS)に対する大動脈弁置換術(AVR)は急速に普及しているが、適応患者に対し十分に実施されているか。Harvard Medical SchoolのElmariahらは、大規模2大学病院の2000〜2017年データを解析した(n=10,795)。重症AS患者をガイドラインに基き4分類した:高圧勾配・LVEF正常(HG-NEF)、高圧勾配・低LVEF(HG-LEF)、低圧勾配・正常LVEF(LG-NEF)、低圧勾配・低LVEF(LG-LEF)。
結論
患者の57%がAVR適応・適応可能性であり、その48%がAVRを受けていた。AVR件数は18年間で増加しており、適応患者数の増加と並行していた。AVR頻度はASサブタイプによって異なり、LG群でAVR率が低かった(HG-NEF:70%、HG-LEF:53%、LG-NEF:32%、LG-LEF:38%)。クラスI適応患者では、若年・冠動脈疾患・喫煙歴・ヘマトクリット高値・外来経胸壁心エコー・LVEF≧0.5がAVR実施増と独立して関連していた。AVRの実施は、全各サブグループにおいて生存率の改善と関連していた。
評価
現在のアメリカにおける適応患者へのAVR実施率は50%以下、という結果である。前回のDuke報告では35.6%であり、施設差が著しかった(https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/JAHA.120.020490)。JACCEditorialによれば、医療提供側のシステム問題が実施率が上がらない主因である、という。

